二月 「己を忘れて他を利する」

これも又伝教大師最澄上人のお言葉です。

同じく山家学生式の中にあります。

悪事を己に向かえ、好事を他に与え、己を忘れて他を利するは、慈悲の極みなり」とあります。

悪事とは人の嫌がる仕事、引き受けての無いようなことを自ら率先して行う。好事とはその反対に楽な仕事、やりやすい仕事は、人に譲る。

自分のことは考えずに、人のためにつくすこと、それが仏様の慈悲のお心の最上のあり方であるとおっしゃています。

漢文では「もうこりた」と読みます。

 

人のために尽くすことは時に報われないこともあるかもしれません。それでもそれに「もうこりた」と思うことなく、変わらぬ人への思いやりこそが慈悲であるのでしょう。